1000年の歴史をほこるリバー王国が舞台となる。この国の王は老齢で病床に伏せてお り、政務を取り仕切っているのは王の娘婿にあたる摂政チグリス大公。

王には息子と娘が１人ずついたが、どちらとも既に亡くなっている。

息子の名はインダス王子。人々を苦しめる悪人や魔王教団などと戦いつづけた国民に 人気の高い英雄であった。しかし、18年前に魔王教団が執り行おうとした魔王復活の儀 式を阻止するため、相棒の「仮面騎士テームズ卿」らとともに魔王の城へ向かい帰らぬ 人となっている。

娘がオーデル王女。チグリス大公に嫁いだものの10年前に病死している。ただ大公との 間にユーフラテス王子という今年２０になる男の子を残している。

大公は貧しい階級出身でありながら、持ち前の才覚で現在の地位に上りつめた立志伝 中の人物。腹心のシナノ将軍とともに、貧民救済策などの革新的な政策で支持を集めて いる。

だが、その政策に反発する保守派貴族などは、王家に連なるポー公爵家を旗頭に大公 と政治的に対立している。

黒騎士団の下へある情報が寄せられる。魔王教団がふたたび魔王復活の儀式を執り 行おうというのだ。

それを阻止すべく、正義の意志を抱く、優秀な冒険者たちが集められた。

パーティを率いるのは、国王の名代として摂政チグリス大公。

かくして、魔王復活阻止のため、かってない規模でのパーティが結成されることとなっ た。

18年前の魔王復活の儀式はガセ情報でした。

その時、インダス王子＆仮面騎士テームズ卿（メナム）や赤い勇者ナイルという正義の 執行者によって魔王教団は壊滅的な状況にあり、魔王復活のための行動などは出来る 状況ではありませんでした。

このガセ情報を流したのは、息子のユーフラテス王子（ラプラタ）を王位に就けようと考え たインダス大公と腹心のシナノ将軍でした。

大公は「山の老人」という暗殺集団をつかいインダス王子を魔王の城へ誘い込み暗殺す るつもりでしたが、インダス王子たちの実力の前に失敗しています。（大公たちは暗殺に 成功したと勘違いしています。そのため秘密保持のために「山の老人」を壊滅させていま す。その時の「山の老人」の生き残りがテベレです。テベレは大公と将軍に復讐を誓いま す。）

暗殺集団の襲撃をも退けたインダス王子を殺したのは、相棒の仮面騎士テームズ卿で す。彼（女）はインダス王子と元恋仲であったものの、インダス王子が別の女性と結婚し ようと考えているのを知って嫉妬にかられて王子を殺しています。

魔王の城の玉座の間には、仮面騎士テームズ卿の矢尻が胸に刺さったインダス王子の 死体があります。

インダス王子と結婚しようとしていた女性レナ（赤い勇者ナイルの娘）との間にはボルガ という男の子が誕生していました。

レナは「お前はインダス王子に弄ばれたんだ」と叱る父の下から家出して、さる修道院に たどり着きます。

レナはその地でなくなってしまいますが、ボルガは修道院でローヌという少女と出会い姉 弟同然に育ちます。しかし、勇者の証である顔の赤アザと青アザは彼のコンプレックスと なり、異性の前で素顔をさらすのを極端に恐れる青年に育ちます。

ボルガの姉貴分であるローヌは本来であればポー公爵家の長女でありましたが、ポー 公爵家に敵対する政商ドナウによって買収された占い師が「この子は公爵家を滅ぼす」 と予言したため、ポー公爵家執事ユーコンの手により捨てられたのです。

一方、一緒に誕生した妹エルベ姫は公爵家の跡取り娘として何不自由なく育てられ、自 分勝手なセレブとして成長しています。

ローヌとボルガは成人して正義を遂行するための旅に出ます。魔王教団や悪と戦ううち に赤の勇者の後継者アマゾンと知り合いになり、その名はだんだんと知られていきま す。

一方、摂政となり政務をとっていた大公は、軍事面を腹心のシナノ将軍に、経済面を盟 友の政商ドナウに支えられ、革新的な政治で力を蓄えつつありました。

やがて息子のユーフラテス王子が即位すれば、己の野望は完遂するはずでした。

しかし、インダス王子に子供がいたことを知った大公は、己の野望完遂の最大の障害と 考え、その子供の抹殺を図ります。

しかし王子の遺児の足取りがつかめません。

やがて大公は、王子の遺児たちが魔王教団と戦っている情報を入手します。

そして王子の遺児をおびき出すために設定した罠が、魔王復活の儀式のガセ情報で す。そのガセ情報によって、魔王復活に反応する多くの冒険者が集まり、大公の指揮の 下、パーティが結成される運びとなりました。

ところが、ちょうど今年が300年に一度の魔王復活の最大のチャンスであったことから、 魔王教団自体も本当に魔王復活の儀式をしようとしていたところでした（当然、邪魔の入 らないように秘密裏に行う予定でした）。

魔王教団の頂点に君臨する「魔王の赤い姫セーヌ」は、自らそのパーティに潜入してい ます。

また、セーヌを守るためと友人の復讐のため魔王教団幹部のエニセイもパーティへ潜入 したほか、王国宮廷の情報収集のためポー公爵家に潜入している魔王教団幹部のトー ネもパーティに参加しています。

病床の国王も、インダス王子の遺児の情報を知り、腹心のコーガ男爵に子供の保護を 命じています。

大公の息子であるユーフラテス王子も父に認められたい一心で仮面を被り、ラプラタと 名乗ってパーティへ参加。

ポー公爵家のエルベ姫も大公の印象を良くして王子の妃に選んでもらおうとアムールと 名乗って参加。彼女を守るためポー公爵家の家来ユーコンも参加しています。

政商ドナウも自分の娘をユーフラテス王子の妃へ迎えてもらおうと画策。エルベ姫に恨 みを持つサハと共にパーティへ参加して、大公へ恩を売ろうと考えています。

むろん、魔王復活を阻止しようという思いのローヌやボルガ、それにアマゾンやナイルも 参加しています。

というもの。

ぱっと見ると、この勝利条件でこの設定はどうつながるんだろうという気持ちがあるかも 知れませんが、詳しく言うととても書ききれないので割愛します。

見て分かるように、基本は６チームに別れ、それが正義グループと悪グループに分かれ るようになっています。

まず、正義グループですが

「魔王復活阻止チーム」・・・ローヌ、ナイル、アマゾン

「インダス王子の遺児チーム」・・・ボルガ、コーガ男爵

です。この２つのチームは、ローヌとボルガの関係で仲間になりやすい設定となっていま す。

次に悪グループですが

「魔王復活チーム」・・・セーヌ、エニセイ、トーネ

「大公チーム」・・・チグリス大公、シナノ将軍、ラプラタ（ユーフラテス王子）

です。ここは元魔王教団という設定があるシナノ将軍の行動次第で同盟を結べる設定と なっています。

また、正義にも悪にもなるチームとして

「ポー公爵家チーム」・・・アムール（エルベ姫）、ユーコン

「ドナウ財閥チーム」・・・ドナウ、サハ

です。ただし、この２つのチームは必ず敵対するように運命付けられています。双方でユ ーフラテス王子との婚姻の約束を結ぶため競うようになっており、ユーフラテス王子と婚 姻を結べないチームは、そのうち正体が明かされるボルガと婚姻を結ぶこともできます。

そしてやや一匹狼的存在として、メナム、テベレ、ラインがいます。このうちメナムとテベ レは勝利条件の関係で善のグループに近い形になります。

「ポー公爵家チーム」と「ドナウ財閥チーム」が最初はチグリス大公に近い勢力として動 いていくことが予想されたため、やや善のチームに近い存在になるように配置されたも のです。

さて、ゲームの経緯をみていくとどうなったでしょう

【導入・自己紹介】

まずは全員、魔王の城をのぞめる前線の城に集まり、夕食をとりながら自己紹介をしあ うシーン。一人２分としても１８人いるので約４０分はかかる計算。自己紹介の後は３０分 ほどの交渉時間となることを事前に伝えています。

今回の裏設定では、最低限伝えないといけない外見の特徴は決めてあり、かつ名前とと もにプレイヤーが名札を下げることとなっているので偽装はできないようになっていま す。

ここでの注目ポイントは「魔王復活チーム」の3人。魔王復活チームの３人は仲間である ことを確認するボディサインを知っている設定（味方の顔や名前は知らない設定）なの で、ここでボディサインを他のプレイヤーに気づかれずに伝えられるかが重要なところ。 しかし、この行動に出たのはエニセイのみ。あとの2人はその設定を忘れてしまって行わ ない。ここで序盤からの「魔王復活チーム」の結成はなくなってしまった・・・

次のポイントは、聖騎士ローヌの外見の説明・・・ローヌは「赤の勇者の鎧」と「青の勇者 の剣」を持っている設定（本人は何の鎧・剣なのかは知らない）なので、みな気のないフ リをしながらもドキドキしながら注目！

全員の自己紹介の後、交渉時間が始まる。

チグリス大公は「オレの設定って、どう考えても敵が多すぎるんですけど・・・」と嘆きなが らも、すぐさまシナノ将軍とラインを味方と判断しチームを組む・・・ただね、ラインはチグ リス大公の命を狙っているんですよ・・・

交渉時間終了時には

大公チーム チグリス大公、シナノ将軍、ライン 魔王復活阻止チーム ローヌ、ボルガ ポー公爵家チーム アムール、ユーコン、トーネ ドナウチーム ドナウ、サハ 新・赤の勇者チーム アマゾン、エニセイ

※赤字はあきらかに敵対勢力が混じっている

てな感じでチームが出来ていました。

なぜか完全敵対同士のエニセイとアマゾンが組んでいるのが不思議なところ・・・

【第１ステージ】

２つのパーティに分かれてダンジョンへと入っていく。それぞれのダンジョンでモンスター と戦い、そこで重要な情報を入手する。

今回入手した情報は、

「Ａ：18年前のインダス王子が魔王教団に倒されたとされる事件には陰謀があった」

「Ｂ：ポー公爵家の双子の片割れが捨てられたのにはドナウ財閥の陰謀があった」

というもの。ここでＢの情報を入手したユーコンに新たな勝利条件『ドナウの抹殺』が加 わります。

そして、２つのパーティが合流してから２０分間の交渉タイム。

娘を王子に結婚させる約束を交わしたいドナウが積極的に大公に近づいていく。大公も 味方が欲しいことから両者の利害が一致。大公がドナウに対して「息子の結婚相手には ドナウの娘を選ぶ」という約束をする。ここでドナウはほぼ勝利条件を達成。

一方、インダス王子の遺児を探すコーガ男爵は、遺児をボルガとローヌのどちらかなの かを絞りきれない。

また、このあたりから「ナイルって、実は１８年前に死んだとされるインダス王子本人じゃ ないか？」という噂が流れ出し、チグリス大公一派はナイルの行動に対して戦々恐々と する。

魔王復活チームとしてはセーヌとトーネがようやく味方を発見。しかし、もう1人のエニセ イは（何故か敵対する）アマゾンと組んでいる状況。

魔王復活阻止チームとしては、ローヌとボルガと堅いタッグを組んだことから、自分から は大きな動きはせずに他人の様子をチェックするのみにとどまっている。裏設定では下 手に動かないことも勝利の早道なのだ・・・。

今回の交渉時間終了時には

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【第２ステージ】

再び２つのパーティに分かれてダンジョン捜索。そしてモンスターと戦った後にそれぞれ 情報を入手。

今回入手した情報は、

「Ａ：１８年前に行方不明となったインダス王子には息子がいた」

「Ｂ：魔王教団のメンバーには秘密のボディサインがある」

というもの。

そして２つのパーティが合流して最後の交渉時間２０分。

ここで「ラプラタって、実はチグリス大公の息子のユーフラテス王子じゃないの？」という のが大公チーム内で分かる。

ここでチグリス大公に新たな勝利（敗北）条件『ゲーム終了時にユーフラテス王子が死ん でると敗北』が追加。

チグリス大公はチームの全員に「どんな事をしてもラプラタを守るように！」と厳命する （この命令を勘違いしたメンバーがいたことから致命的なことに・・・）

大公チームに所属するラインは、ラプラタと2人きりになり王子かどうかを確認。ラプラタ も観念し、仮面を外してユーフラテス王子であることを明かす。後で聞いたライン（のキャ ラクター）の思いは

「くくっ・・また高貴な獲物がきた。オヤジの目の前で息子を殺す・・考えただけでイッてし まいそうだ」

魔王復活阻止チームは、トーネなどと一緒に密談。

その際にローヌが「セーヌって魔王教団のメンバーじゃない？」と思ったことを話したとこ ろ、他のみんなは「たぶんそうだね」と頷く。

しかし、トーネのみ「違うよ、違うよ。」と必死でフォロー

・・・そこで他のキャラクターは全員こう思ったという。

『こいつも魔王教団か・・・』

【最終ステージ】

マスターは最後の部屋と明言。

ここでマスターのやるべき仕事は終了。マスターとサブマスターでビールを開けて乾杯。

最後の部屋にはモンスターはなく、魔王の玉座の側に１８年前にメナムによって殺された インダス王子の亡骸がある。インダス王子の胸に刺さった自分の矢を誰にも見せないよ うにしないとメナムは「自分の罪をインダス王子の遺児に許してもらう」というハードルの 高い勝利条件を達成しないといけない。

最初にラプラタが仮面を外しユーフラテス王子であることを明かす。

と・・・ここで何を勘違いしたのかシナノ将軍がラプラタ（ユーフラテス王子）を攻撃。チグリ ス大公が悲鳴をあげる「お前は敵だったのか！！」

この時が好機とラインも正体をさらけだしラプラタ（ユーフラテス王子）を攻撃。

ラプラタ（ユーフラテス王子）、大ピンチ！！

そこに魔王復活チームのセーヌとトーネも加わる。２人は本当ならばインダス大公チー ムと組む要素があったものの、両チームの架け橋となりうるシナノ将軍が動かなかった ため、この２つのチームは敵対関係と勘違いしているままであった。さらにはチグリス大 公の命を狙うテベレも加担。

ユーフラテス王子の顔にあるアザを見たコーガ男爵は「もしかしたらラプラタ（ユーフラテ ス王子）がインダス王子の遺児かも」と勘違いしラプラタを守ろうとする。それまで仲間で あったコーガ男爵に引きずられるようにボルガもチグリス大公チームに加勢する（本当 は最大の敵対勢力なんですが・・・）。

アムールは「いったい誰が敵なの？」と呆然としている横で、ユーコンが「お前のせいで ポー公爵家の双子の姉姫が失われた」とドナウを攻撃。

敵味方が分からないアマゾンが魔法によって動けなくなった瞬間を狙って、いままでチー ムを組んでいたエニセイがアマゾンの止めを刺す。「ごめーん、実は私と貴方は敵同士 なの。」

魔王復活チームの２人とライン、シナノ将軍とテベレは討ち取られる。しかし、サハも倒さ れてしまい戦力構図はこんな感じに

ここでチグリス大公が停戦を要求。

結果、話し合いが行われる。

チグリス大公の「もしボルガを殺そうとしたら阻止する人は？」の問いかけに手を上げる ローヌ、コーガ男爵、メナム、ナイルたち。

大公チームの戦力（戦士がいない！！）では勝てないことを悟ったチグリス大公が勝利 条件「インダス王子の遺児（ボルガ）の抹殺」の達成を諦める。

ドナウが死なないと困るユーコンはあくまでも戦いを主張するも、ドナウがチグリス大公 に対して約束を守るよう念を押した後に自ら命を絶つ（ドナウの設定として「余命いくばく もない」というものがあったので、唯一自分の生存が勝利に関係ないキャラだったので す）。彼の死を見てラプラタ（ユーフラテス王子）も娘を妻にすることを約束したので、ドナ ウは勝利条件を達成。

メナムはボルガを呼び出し「実は、君の父親のインダス王子を殺したのは私なの・・・な んでかって言うとね・・・」という風に事情を説明。痴情のもつれであることを納得したボル ガはメナムのことを許したので、メナムは困難だった勝利条件を達成。

コーガ男爵は、ボルガに対して「あなたこそ真の王子。王宮へお戻りください」と宣言。ボ ルガもそれを了承したので、コーガ男爵は勝利条件を達成。

アムールは「ああっ、ユーフラテス王子が別の人と婚約しちゃった」とガックリ

・・・でも、貴女の隣に次期王位を継ぐボルガ王子がいたのです。ボルガが王子と判明し た後でも「結婚してー、ボルガ王子」というセリフが言えませんでした。

それを言えてたら、結婚願望のあるボルガも断るわけはなかったのに・・・

また、これらの勝利条件のほかに、他のキャラクターの勝利条件をもっとも多く見破った プレイヤーは「完全勝利」という特別ルールを適用。

全員にそれぞれ他のキャラクターの勝利条件の予想を書かせる。

でも・・なかなか分からないもんなんです・・。

一番正解したのはボルガ（Ｈ本さん）・・・このキャラクターも勝利となりました。

ちなみに正解数は１７人中７個の正解・・・これがどれくらい凄いかというとボルガ以外の プレイヤーの平均正解個数は１．７個にすぎませんでした。

かくして、今回の裏設定ダンジョンズ＆ドラゴンズ

１８人中、完全勝利者は６人（ローヌ（Ｓ柿さん）、ボルガ（Ｈ本さん）、コーガ男爵（Ｙ村さ ん）、ユーコン（Ｉ崎さん）、ドナウ（Ｕ田さん）、メナム（Ｔ石さん））という結果になりました。

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